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ゴー、シュシュシュー
よく見ると、それは、黒煙を噴き出している汽車、だった。ここは、2階だから、つまりは、その汽車は、宙に浮いているのだ。
まるで、ファンタジーみたいな光景。
「うわぁー!!」
しかし、その時の寛太には、恐怖心よりも、好奇心の方が上回っていた。
なぜなら、寛太は、小さい頃から電車が好きなのだ。近くの駅に足を運んでは、入場券を買って、駅に入り浸ることも、しばしばあった。
中でも、昔、国鉄時代に活躍していた汽車は、興味があった。一度でもいいから、乗ってみたいと思っていたのだ。
寛太が、憧れの、輝くような目で汽車を眺めていると、ギィー、と扉が開いて、中から車掌が出てきた。
寛太に出窓を開けるように合図すると、
「眠れない子供たち限定の、汽車ツアーへようこそ!
ぜひ、楽しんでってくださいね!」
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