姉と妹のいざこざ ミラの場合

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 私はまだやっぱり自分を殺そうとしている姉に対する悲しみを感じたが、命が狙われていることで怒りが湧き上がってくるのを感じた。  ――私が一体何をしたの?毎日乳搾りしかしていないような牧歌的生活を謳歌していた私の命を狙う必要がどこにあったのかしら?  生きている限り、命を狙われて脅かされるのであれば、私だって覚悟を決めて戦う。恋をしたことが大きいかもしれない。もっと生きて幸せになりたいという欲望が強烈に高まったのだから。  私の目の前に数百本の矢が降り注いだ。ジョシュアとグレースが必死で弾き飛ばそうとしたが、私は立ち止まってしまった。矢はかわせたが、私が立ち止まってしまい、第八騎士団とジョシュアとグレースもその場で思わず立ち止まってしまった。 「あら、やっぱりあなたたち、ただの狐とたぬきじゃないわね?」  透き通るような冷たい声で言い放つ声が上からして、私たちは思わず上を眺めた。姉のエレノアが食い入るように真剣な眼差しで、私たちを見つめていた。仁王立ちして獣である私たちに立ち塞がる形でたっている。  地面に刺さった数百本の矢に青ざめた私は、機嫌の悪そうな表情の姉に、思い切って聞いた。 「エレノア、何しにきたのよ」
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