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私は恐怖のあまり、頭を殴られたような衝撃を覚えた。息が苦しくなった。
政敵の屋敷に自分が迷い込んだことを悟った私は、とんでもない事態に愕然とした。都から遠く離れて逃走したつもりが、奇しくも敵の懐の中に入り込んでしまっていたようだ。どういうことなのかはよくわからないが、荷台の御者はただの農夫ではなく、クーデーターを起こした側の人間だったということになる。
――私は敵の移動手段を使って都を離れた?敵と共に?どうしてこんなことに?
捕まったら、殺されるのに。逃げたつもりなのに、敵の手中にいるのはなぜなの?
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