姉と妹のいざこざ ミラの場合

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 リズは剣をすぐに抜けるように、無意識にソードベルトの位置を確かめていた。私も、第八騎士団のメンバーはソードベルトに剣を携えていた。姉が私の髪の毛を引きずり回し、血だらけで気を失った私を谷底に突き落としてから1年が経つ。第八騎士団のメンバーも同じ目にあった。谷底に落ちる途中で、私は奇跡的に意識を一瞬取り戻して、呪文を唱えたのだ。  皆の命も助かったが、私たちは金塊の契約を果たすことになった。 「姉の第一皇女のエレノア・フォードオーロラ・ウィンドハットが、私を襲いに来たのかもしれないわ」  私は第八騎士団の皆に警告した。ジョシュアとグレースは詳しくは知らないはずだが、姉に私が殺されかけて金塊の契約をしたことは知っている。 「エレノアは私たちが動物になっていることを知らないわ。だから、すぐに狐とたぬきとイノシシになりましょう」  リズが剣に手をかけながら言った。  ――そうね。エレノアは確かに知らないわ。  私たちはすぐに狐とたぬとイノシシの姿になった。ジョシュアとグレースも、猫と狐の姿になった。  そして、すぐに山道を降り始めた。  風を切って山道を走るように皆で降りていく。途中で、矢が飛んできた。  ――なぜ私達だとわかったのかしら?  矢は、ジョシュアとグレースが手のひらからペガサスと龍の光を出して矢を振り払ってくれた。その隙に私たちは必死で山道を下った。獣の姿の方が断然早い。  ――エレノアよね?矢で私たちを狙うのは、エレノアしか考えられない。
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