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眠れない夜に幾度も思い出した部屋。ジョシュアが私の体中に唇を押しつけ、愛撫して、甘い嬌声とベッドのきしむ音と、ジョシュアの情熱的な愛のささやきで部屋中が溢れ、私の体をジョシュア自身が貫いた部屋。
「あぁ、グレースすごく可愛い……」
「グレース、愛しているよ」
ジョシュアのあの時のささやきが耳元に今でも残っている。それなのに。
私が真の意味で恋する女性になった部屋なのに。声が枯れるまで、ジョシュアに激しく愛されて抱かれた部屋なのに。
――こんなことがあるの?私はあの部屋で殺されるのだわ。
私はジョシュアに腕をつかまれて引きずられるように連れて行かれながら、身震いした。ジョシュアが何を考えているのか分からなかったが、自分の死へのカウントダウンが始まっていることは分かった。
「覚えているだろ」
ジョシュアは私を自分の部屋に引きずり込むと、私をなじるように言った。ジョシュアの瞳に影がかかったような暗さがにじんでいる。ハッとするような美貌に凄みが増している。
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