Episode1 ダイゴ・キッド

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 ダイゴは町から2キロほど離れた荒野まで来るとジャンゴから降りて、拳銃を手にして言った。 「さっきはありがとうマリア」  そして、私は拳銃から女神の姿に戻り、ダイゴの胸ぐらを掴んで怒りをぶちまけた。 「このウエスタン馬鹿ぁ‼️」 「ちょちょちょっ!ど、どうしたんだよマリア⁉」 「どうしたんだ?じゃないわよ‼️さっき私を地面に放り投げたでしょうが‼見習いとはいえこれでも誇り高き女神なのよ‼️神よ‼️ゴッドよ‼️床に落ちてる髪やゴミじゃないのよ‼️」 「まままま、謝るから一旦落ち着こうマリア」  マリア、それが私の名前。この男・黒澤(くろさわ)ダイゴを西部劇の世界に転生させた女神。そして、彼の守り神でもある。一応…。 「全く…ガンマンになったからって、あんまし調子に乗らない事!あなたがこうやって活躍出来るのも、私のおかげって事を忘れないでほしいわね」 「わかりました。感謝してます女神様。それじゃ、今夜の宿を探しに行くか」  ダイゴは再びジャンゴに跨がり、次の町に向かって歩かせた。私もまた拳銃の姿になり、彼のホルスターに収まる。全く窮屈ったらありゃしない。 「宿ならさっきの町で止まれば良かったじゃない」 「英雄は役目を終えたら颯爽と去って行くものさ☆」 「カッコつけちゃって。ていうかあなた、賞金受け取らなかったけど、ちゃんとお金持ってるの?」 「心配すんなよ。宿に泊まる金ぐらい持って…」  ダイゴは突如黙り込んだ。 「…?どうしたのよ」 「いやぁ…そ、そのぉ…」 「…あ、あなたまさか…!」  ダイゴは懐の茶袋から一枚の1ドル銀貨を出して言った。 「…これしかなかった」  それを聞いた私は、怒りのあまりに弾を連射した。 「わっ‼ちょっ!あぶないあぶないって‼」 「ばっかじゃないのぉ!?なんでお金ないのに賞金受け取らなかったのよ‼️」 「いや、少しくらいはあるかと思って…」 「今から町に戻って賞金を貰いましょ!」 「そんなダサい事したくない!」 「カッコつけるんじゃないっつーの‼️」 「大丈夫だよマリア!金が無かろうが、どんな困難に陥ろうが、二人一緒ならきっと乗り越えて行けるさ!ね、女神様☆」 「こっ…このウエスタン馬鹿ぁああ-‼️」  本当に、こんな馬鹿に付き合い続けて、私は立派な女神になれるのだろうか…?  
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