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ダイゴは町から2キロほど離れた荒野まで来るとジャンゴから降りて、拳銃を手にして言った。
「さっきはありがとうマリア」
そして、私は拳銃から女神の姿に戻り、ダイゴの胸ぐらを掴んで怒りをぶちまけた。
「このウエスタン馬鹿ぁ‼️」
「ちょちょちょっ!ど、どうしたんだよマリア⁉」
「どうしたんだ?じゃないわよ‼️さっき私を地面に放り投げたでしょうが‼見習いとはいえこれでも誇り高き女神なのよ‼️神よ‼️ゴッドよ‼️床に落ちてる髪やゴミじゃないのよ‼️」
「まままま、謝るから一旦落ち着こうマリア」
マリア、それが私の名前。この男・黒澤ダイゴを西部劇の世界に転生させた女神。そして、彼の守り神でもある。一応…。
「全く…ガンマンになったからって、あんまし調子に乗らない事!あなたがこうやって活躍出来るのも、私のおかげって事を忘れないでほしいわね」
「わかりました。感謝してます女神様。それじゃ、今夜の宿を探しに行くか」
ダイゴは再びジャンゴに跨がり、次の町に向かって歩かせた。私もまた拳銃の姿になり、彼のホルスターに収まる。全く窮屈ったらありゃしない。
「宿ならさっきの町で止まれば良かったじゃない」
「英雄は役目を終えたら颯爽と去って行くものさ☆」
「カッコつけちゃって。ていうかあなた、賞金受け取らなかったけど、ちゃんとお金持ってるの?」
「心配すんなよ。宿に泊まる金ぐらい持って…」
ダイゴは突如黙り込んだ。
「…?どうしたのよ」
「いやぁ…そ、そのぉ…」
「…あ、あなたまさか…!」
ダイゴは懐の茶袋から一枚の1ドル銀貨を出して言った。
「…これしかなかった」
それを聞いた私は、怒りのあまりに弾を連射した。
「わっ‼ちょっ!あぶないあぶないって‼」
「ばっかじゃないのぉ!?なんでお金ないのに賞金受け取らなかったのよ‼️」
「いや、少しくらいはあるかと思って…」
「今から町に戻って賞金を貰いましょ!」
「そんなダサい事したくない!」
「カッコつけるんじゃないっつーの‼️」
「大丈夫だよマリア!金が無かろうが、どんな困難に陥ろうが、二人一緒ならきっと乗り越えて行けるさ!ね、女神様☆」
「こっ…このウエスタン馬鹿ぁああ-‼️」
本当に、こんな馬鹿に付き合い続けて、私は立派な女神になれるのだろうか…?
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