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「ーーー…大丈夫…ですよ…
ーーー……ラインで……良いですか……?」
「ーーー…へ?」
予期せぬ返事に、俺は拍子抜けした声を出してしまった。大丈夫ですよーーーって…ライン…教えてくれるってことーーー…?
「ーーーえと…良いですか…?…本当に…?
……なんかその……金髪の怖い男だからーーー…仕方なく教えようとか…思ってません…?」
俺はラインのQRコードを出そうとスマホを操作しつつ、彼女に尋ねた。
彼女は不思議そうに黒い瞳を俺へ向けたあと、指を口元に当てて小さな声で笑った。
「ーーー大丈夫ですよ…!
…そんな怖い人だなんて…思ってないです…」
もしかしたらお世辞でーーーその場しのぎでそう言っているのかもしれないけど、俺には彼女のそのその場しのぎすら嬉しかった。
連絡先交換すら断られると思っていたのにーーーこうやって彼女が連絡先を交換させてくれ、目の前で笑ってくれているのが、奇跡のように思えた。
「ーーー平樹さん…ですね。
今、スタンプ送りました。
……その…『佐崎憂』っていうの、私です」
俺のラインには既に彼女からのスタンプが届いており、俺はすぐさまトーク画面を開いて既読をつけた。
彼女の送ったスタンプは「よろしくお願いします」とシロクマが頭を下げていて、なぜかその頭の上には骨付き肉が乗っているというデザインのものだった。
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