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「私個人としては、あからさまにコラボ商品とは分からないような…さりげないデザインーーー…オシャレで、気軽に日常遣いができて、ファッションに取り入れられるようなデザインが良いかなと思ってます」 俺は言われて、頷いた。 確かにあからさまにコラボ商品とはっきりわかってしまうデザインだと、ファッションに取り入れにくいし、取り入れたとしてもどうしてもそのアイテムにポイントを置いたファッションや、責めたファッションになりがちだ。 「Tシャツと扇子はさりげないデザインのものーーーサングラスもワインの色味を活かしたような黒に近い深紫色だといいかなと考えています。 ーーーただ、コースターはアルマディージョ感を前面に出した、ポップなものでもいいかなと思っています。コースターって身につけるものではないので、シックなのとポップな感じの、2種類作っても良いかもしれません」 憂は資料と俺の顔を交互に見ながら説明をしてくれる。肝心のデザインが資料には載ってないが、それは憂がこれから考えてくれるという事なのだろう。 俺は資料に視線を落とし「いいですね」と告げる。お世辞でも何でもなく、憂のデザイン案に賛成だった。特にサングラスがワインの色を模したカラーなんて、すごく面白そうだし売れると思った。 コースターもそう。Tシャツや扇子がシンプルなら、コースターはワイングラスやぶどうを形どったものなど、ポップなものがあっても良いだろう。 「具体的なデザインはもうーーー頭の中にあったりします?」 俺は憂に尋ねてみた。 憂は大きな目を更に大きくして俺の質問を受け、そして答えてくれる。 「なんとなくこんな感じで…ってのはあります。 でも、もし平さんが作りたいデザインが具体的にあったら、それを組み込んで作りますよ」 憂はそう言って先程資料を入れていたカバンの中から筆記用具を取り出した。
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