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「このサングラスはーーー ーーーちょっと攻めすぎですかね?」 憂はそう言いつつ画面を拡大し、正面から見た場合のサングラスを大きく表示してみせる。 レンズからフレームまで、ワインのような赤味がかった紫色のサングラスがそこに映し出され、俺は少しだけ笑ってしまう。 慌てて口元を隠すと、憂はそれを目ざとく見つけて指摘する。 「笑いましたね…! やっぱり…攻めすぎ…というか…… ーーー派手すぎますかね?」 憂のリアクションが愛らしく、俺はもっと笑顔になってしまい、観念して口元を隠した手を外した。 「そうですね…! ちょっとこの紫は…派手かなって感じます… 僕もワインカラーのサングラス良いかなって思ったんですけど…いざ画像にしてみると結構派手になりますね… もう少し黒っぽい赤紫だと良い感じの色味になるかも知れません」 憂はパソコンを操作し、サングラスの色を少しずつ変えていく。トーンを少しずつ操作して落としていくのを見ながら、今の時代はパソコンでこんな事も出来るのだなと驚く。 「なんか…やっぱり派手じゃないですか…?」 憂は顔を俺の方に向けて尋ね、再び画面を見た。 確かに画面には黒みを帯びたものの、相変わらず派手な印象のサングラスが映っている。 「青と黒をーーーもう少し足しても良いかもしれません…ワインの色に合わせるよりはーーー… ワインの原料の葡萄をイメージすると、よりサングラスっぽくなって馴染みやすいかも」 憂は「なるほど…」と相槌を打ちつつ、言われた通り色味を足していく。 俺も憂の操作するパソコンを見て初めて気付かされたが、本物のワインのような赤黒さをサングラスに求めると、思っていたよりもどうしても派手になってしまう。 それなら葡萄のようなーーー青黒さの混じった紫なら馴染むかなと思った。
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