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「僕、ねぎまと手羽先お願いしてもいいですか?
あとオススメの鷄皮も食べたいです。
でーーー…飲み物はビールを」
東堂さんはそう告げると、平君は?と言う代わりにメニュー表を俺の方へ向けた。
何にしようーーー…迷うな…
「俺も飲み物はビールでーーー…
えっとーー…じゃあ砂肝とぼんぼちと……
鶏皮もねぎまも食べたいです」
駒場さんは俺の答えを聞いて「いいねぇ」と声を出してから「頼んでいい?」と隣に座る憂に尋ねた。
おそらく憂と駒場さんは前にもこの店に来たことがあってーーーそれぞれ食べるものが決まっているのだろう。
憂が頷くと駒場さんは直ぐに店員へ声をかけ、注文を告げた。
注文したのはビール4人分、比内鷄ねぎま串盛り合わせ、鶏皮串10本、手羽先と砂肝とレバーが2本ずつ、ぼんぼちが4本。
それにサラダと、だし巻き卵。
おそらくレバーを頼んだのは、憂だろう。
「デザイン、ありがとうね。
休日返上で考えてもらっちゃって。
おかげでかなりスムーズに、制作まで取り掛れそう」
駒場さんは俺と東堂さんにあらたまって頭を下げてくれ、俺も慌てて頭を下げた。
本当は俺が憂に会いたいばかりにーーー憂の休日にああやって2人で会う口実を取り付けたに他ならない。
「平さん、わざわざ自分でもデザインを考えて、紙に描いてきてくれたんですよ。
私なんだか、嬉しくなっちゃって」
憂が笑うと駒場さんは大きく頷いた。
東堂さんは目を大きくして「そうなの!?」とおしぼりで手を拭きながら驚いてくれる。
「自分も…一応考えた方が良いのかなと思って…
ーーー落書き…みたいなものでしたけど」
俺が告げたところでビールとサラダ、串焼き盛り合わせを店員が持ってきて、俺達は駒場さんの挨拶に合わせて乾杯をする。
「美味しい…仕事終わりって感じです」
ビールを喉に流し込んで、憂が笑う。
憂ってーーー…ビール飲めるんだ。
俺と付き合っていた頃は…苦い苦いと言って飲めなかったのに。
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