歯車を止めたあとで

【４】

「ーーーー後はサンプルの出来上がりを待って…商品が作成されたらそれを店頭に並べて大抽選会。
コラボ商品以外も含めて10,000円以上買った方のうち３名にアルマディージョ見学無料券、10名にアルマディージョ製ワインの試飲セット、20名にアルマディージョで使える500円クーポンが当たる。
当選者の方には半年以内にアルマディージョの見学やショップでの買い物でクーポンを使用してもらう。
ーーーそしたら後は迦桜町(かざくらちょう)の夏祭りで出店を出店してーーーコラボ関連の企画は終了って感じ」

俺がまたしても過去に引き戻されている間に、駒場さんと東堂さんは今後の企画の流れを話し合っていた。

俺はさも話を最初から聞いていたかのようになんとなく頷いてから、店員が持ってきたばかりの砂肝を口に運んだ。
コリコリしてて美味しいーーー臭みが、全く無く、むしろ噛めば噛むほど旨味が溢れ出してくる。

「試飲セット、すごく素敵でした。
ミニサイズのワインボトルが詰まっててーーーワイン飲めない方でも、飾っておきたくなるなぁって思いました」

憂は最初にオススメしていた鶏皮を手に取りながら東堂さんに微笑んだ。
憂が齧って串から外した鶏皮は、確かに俺が想像する鶏皮よりこんがりとしていて、ぷるぷるというよりはサクサクとしてそうな見た目だ。

俺もついその食感が気になって、鶏皮に手を伸ばす。
ーーーーすごい…しっかり焼けてるけど、鶏皮せんべいのようにパリパリでは無くて、ぎゅっと身が詰まっていて密度がある…

「後で、別のスタッフの方の分は寄せてるので送りますね。ぜひみなさんにも試飲して頂きたくて」

俺は驚いて、鶏皮を口に咥えたまま東堂さんの方へ顔を向けた。

初耳だそんなの。
スタッフの方達にも試飲セットを用意するなんてーーーなんだか東堂さんらしい。