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「今度試してみます」
「是非是非。っていうか、メニューにもあるから、俺の一存で」
言って嬉しそうにデザートのページを見せてくれた……本当だ、なんか充実してる。居酒屋なんてアイスとかちょっとしたケーキとかくらいしかないイメージだけど、ホットケーキとかパフェまであってファミレスみたい。好きだというチョコレートも3種盛り合わせがある、しかもいいとこの、有名どころの。
「じゃあ……チョコレート、いただいてみます……」
「やだな、そんな怖いもの見たさで試さなくても」
言いながらもチョコレートを出してくれた、おしゃれなガラスの皿に並べられてカフェのようないでたちである。
小さな一口サイズのチョコレートを口に入れた、体温でじわりと溶けていくのを味わう。ああ、おいしい、さすがは高級チョコレート……嚥下し終わり口内に甘さが残るうちにビールの口に含んだ。
うーん?
「駄目か」
私の表情を読んだのか、影山さんは笑いながら言う。
「……はい」
喧嘩するかといえばそうではないけど、でもお酒が進むかといえば、進まないな……できれば別々で味わいたい。
「残念、やっぱりあたりめか」
ジョッキに注いだビールをカウンターに置く、別のお客さんのだ。それに手を伸ばした従業員が微笑んでくれる。
「判るよー、影山さんに気を使わなくていいよー。合わないわけじゃないんだけどね、俺はビールはご飯系と合わせたい方」
「桐生は餃子が一番っていうもんな」
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