3571人が本棚に入れています
本棚に追加
今日もまた大きな荷物を持って影山さんのマンションへ帰る。
「本当にすみません、助かります……あ、先にお風呂入ってください」
言えば影山さんは遠慮する。
「斎藤さんが先に入んなよ、先に入って早く休んで」
「いえ、私は少し荷物を解体しますし、明日の準備もしますので、その間に」
朝ご飯の弁当だ、明日がちゃがちゃしたくないから。
「そういうことならお先にいただくね」
影山さんは笑顔で言って一旦寝室に入っていく。私はまず冷蔵庫を開けた、今日も持ってきたものがあるから……佃煮とかなんだけどね。開ければすぐにそれが目に入る、密閉容器が増えてる。ただでさえ埋まっていたのに、さらに押し込められている。
「あれ?」
思わず声が出た、寝室から出てきた影山さんがどうしたのと聞いてくれた。
「影山さんもなにか作られたんですか?」
「いや、俺はなにも……ああ、母かも」
「え゛?」
ここって、影山さんのお母さんも出入りしているの!?
「俺が店の賄いしか食べてないの知ってるから、居酒屋のご飯なんて揚げ物ばっかでしょーって感じで、たまに家で作ったもの、持ってきてくれてるんだ」
「そ、そうなんですね……ご実家は近いんですか?」
「うん、徒歩で5分くらいなんだよ、母だともう少しかかるかな」
「え、そんなに近いのに分譲マンションを?」
最初のコメントを投稿しよう!