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その返事は終業間際だった。影山さんから来たメッセージには私の部屋から運び出した荷物を倉庫に入れ終わったという内容だった。私の荷物には引っ越し特有のカバーがかかっている。それらを背景にピースサインの影山さん込みで撮影された写真付きだった。
ふふ、影山さん、かっこいいしかわいいし。保存しちゃお。
【相原良太さん】【『Azur』のオーナーさんだよ】
おお! そうか! そんな名前だった!
【お礼はしてあるけど、改めてしにいこうね】
はいはい、是非是非!
【元カレにも話つけておくからって言ってくれてる】【きっちり片が付くといいね】
ああ、本当にありがたいし、申し訳ないし。
仕事終わりにマンションに行ったら良さんに会えるかな、でもそこで周とばったり会っても面倒なだけか……改めて影山さんにセッティングしてもらおう。
影山さんのメッセージに鶴屋町の『よろずや』で待っているとある、うん、会って話をしよう。
終業のベルを聞いて畑さんと会社を出る、理由はもちろん、元カレがストーカー化しているからと告げてある。外に出る前に畑さんもキョロキョロしてその姿を探してくれた。
「大丈夫みたい」
うん、私の視界にもその姿はない。周としてもどこで私が捕まえられるかは未知数なのだろう。今までは家に帰れば会えた、一緒に住む前はお互い連絡して待ち合わせていた、その前なら私から周がいる店に訪ねていたから、偶然ばったり会うタイミングなど測れていないんだ。
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