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影山さんは言いながらカウンターテーブルの先日と同じ席にある『RESERVE(予約)』の札を手にして、フロアにやって来る。どうぞと案内してくれたのは窓際の席だ。
「えーっと、畑さんでしたね」
さすが同じチームで働いていただけのことはある、畑さんのことも覚えていた。畑さんは嬉しそうに微笑んだ。
「はいぃぃぃ!」
なんともねちっこく返事をする、影山さんに名前を呼ばれだけで嬉しいんだろうな。
「えー、ここに来るって約束してたってこと~? なんか仲良しじゃない~? いつの間に~?」
「日曜日にたまたまここに来てくれて、以来ビール教育をしています」
畑さんの疑問に影山さんがにこやかに答えれば、畑さんは無意味にきゃあと声を上げた。そこへおしぼりを持った美優さんがやってくる、完全にしかめっ面だ。
「ありがとう」
わざわざ影山さんが受け取りテーブルに置いたのは、私と関わらせないためだと思ったのは気のせいじゃないと思う。美優さんは私を睨みつけ、くるりと背を向けた。
「あ、先に伝言いい? 斎藤さんのマンションにはまだ元カレ君は現れてないよ。今日は来ないのかな、もう諦めてくれたならいいね」
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