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え、もしかして良さん、ずっといてくれてる……? そんな確認もできずにただ「はい」としか言えなかった、だって目の前で畑さんがニヤニヤしている。完全に畑さんには判らない話を『伝言』されたんだ。
「なににする?」
メニューを広げながら影山さんが言う、隣の席の女性ばかり3人組がちらちらと影山さんを見ているのが判って、ちょっとジェラシーを──ダメダメ、私が何の権利があって。
「おすすめはなんですかあ?」
畑さんが負けず劣らずの媚びた声を上げた、影山さんの前だと女性はそうなるものなのか。
「今日の飲み物のおすすめは、できたてラガーだね。大手メーカーとは別物だから味わってみて。食べ物はマグロのカルパッチョかな、いいマグロが入って」
「じゃあ、それにします」
畑さんはすぐに言った、でも注文は二次元コードを読み込んでになる。私がそれをやれば畑さんもスマホを取り出した。まだオーダーは通っていないけれど、影山さんは準備するねと言ってテーブルを離れていく。
「ちょっと、なあにぃ? 日曜日に影山さんとぉなんて話、聞いてないけどぉ?」
注文を終えた畑さんが意地悪く言う、そりゃ言いませんよ、影山さんに会ったなんて……言ってもよかったのかな、でも言えなかった。
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