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専業主夫的な? でも周は結局なにもしてくれなかったから、もっと早く別れを切り出しておけばよかった。
「えー、じゃあ私をヒモにしてくれる~?」
「末吉は辞めないでくださいね、自立したヒモです!」
「それはヒモじゃない、シェアハウスだわ」
確かに! ふたりで楽しく笑い合えた、ああ、いい時間だ。
「でも本当にあかねちゃんと同棲しようかな。私なんぞ顔もスタイルも性格も可愛げないし、年齢もかわいくないから、もう男は釣れないもん」
「そんなことないですよ、畑さんも全部かわいいですよ」
「ありがとう、あかねちゃん、愛してる!」
あははとふたりで笑い合っていると、影山さんがビールを運んできてくれた。
「きゃあ、影山さん御自ら注いでくれたビールですか! 嬉しい!」
畑さん、社交的だな。
「俺は店にいる時はいつも注ぎ手なの」
それこそこだわりだ、各店舗に2、3人、専属の注ぎ手がいると言っていた。ビールは注ぎ方で味わいが変わるからだという。
「ごゆっくりー」
影山さんは笑顔で去って行ったけれど、まもなく料理を手にして戻ってくる。私は見てしまった、その料理は美優さんが持ってこようとしたけれどそれを制して影山さんが受け取ったのだ。先日はずっとドラフトタワーの前にいたのに今日はフロアに出てくるのは、美優さんが私に伝えたことを気にしてだろうか、やはり余計なことを言ってしまったな、指輪の事なんか。
「お待たせしましたー」
マグロのカルパッチョだ、でも今日もメニュー写真と違ってチーズが添えられている、またおまけだなんて。
「ごゆっくり」
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