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動画は2分ほどだ、周は延々と謝罪の事を口にしている。
『もう二度と斎藤あかねさんには近づきません。斎藤あかねさんの幸せを願っています。さようなら』
これが言質か、もしまたなにかあればこれを盾に文句も言えるだろう。
影山さんに『見ました』という言葉とお礼を伝えた、それはまもなく既読になり親指を立てたスタンプが送られてくる、忙しいだろうに、マメな人だな。
ああ、これで周とは本当に終わったんだ。ほっとすれば一気に睡魔に襲われる、今日はとにかく早く寝よう。
布団に潜り込み深呼吸をすれば改めて安堵が押し寄せる、本当によかった、次の恋はちゃんとした人にしよう──そう思った時、脳裏に影山さんの顔が浮かんできた。
そりゃ……素敵って思ってしまうよ……ほぼ他人の私にここまでしてくれるんだよ、好意を持ってしまうのは仕方なくない? 影山さんにとっては当たり前の事かもしれないけど、私にとってはまさに舞い降りた神様か天使のようで、そりゃ、好き、ってなる……は! 何考えてるの! 影山さんは忘れられない人がいるんだよ、私なんかが入り込む隙間なんかないから!
でも。理想にするのは許してくれるよね──理想にするには凄すぎる人だけど。
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