溺愛社長は甘え下手な彼女を離さない

#8 モラハラ男を排除します

ランチタイムに次の居住地を探す、畑さんと一緒のご飯中に申し訳ないけど相談もしながらできてありがたいから……家賃はもちろん、広さや防犯性、通勤時間を考えるとなかなかなあ……と悩んでいればふと思う。周は十分に反省しあんな動画まで撮影されたんだ、もう来ないんじゃないだろうか？　だったら野毛のマンションに住み続けても問題ないのでは？

それを今日も訪ねた『よろずや』で影山さんに伝える。

「それはやめたほうがいいんじゃない？」

影山さんはビールを注ぎながら進言してくれる、今日は私ひとりだからカウンターテーブルに案内されていた。

「確かに言質は取れたけど完全に守られる保証はないじゃない、連日怒鳴り込んでくるような男だよ？　斎藤さんは仕事場も変えられないんだから、できるだけ逃げたほうがいい」

確かに、そうかも。

「あ、ちなみに彼には仕事場も変えるよう脅(おど)……説得しといたって。もし数日経っても姿を見かけるようなら言ってほしいって。その辺も含めてだね」

おど……って。

「『Azur(アズール)』のオーナーさんって、何者ですか？」

周が来るまで待っていてくれて、脅しまでかけてくれる、きっとそうしてあの動画も撮ってくれたんだ。影山さんが直接迷惑をこうむっている相手だというならまだしも、私などその仕事相手でしかないのに。