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「平日がよければお休み取ります、良さんのご都合を確認してもらっていいですか? 全然合わせますので!」
良さんもきっと忙しいよね。横浜市内だけでも3店舗の経営をしている……そうなの、影山さんも言っていたけど、パンケーキカフェと音楽バーとアジアンレストランと提供内容が全く違うのだ。
「いずにしてもあの部屋は解約はしたほうがいい、カレシとの縁は切らないと。引っ越しが面倒だって言うならこのままうち──今の場所にいる分には、全然構わないし」
うち、という単語は周りには聞かれたくないよね、一緒に住んでるなんてバラしたくない。
「引っ越し費用がないなら全然補助するし」
「いえ、それは!」
これ以上影山さんのお世話にはなれないよ。
「あんまり急いでどうしようもない家を選んでもしょうがないし、納得いく部屋が見つかるまでゆっくり探せばいいよ」
笑顔で言われ頷いてしまった。
「ありがとうございます、お言葉に、甘えます……」
そうだ、まずは部屋の解約を……明日は土曜日だ、不動産屋に行って解約と、次の部屋の相談もしてみようか。
☆
その晩、リズを額を突き合わせて眠っていると控えめながら賑やかな声がした。影山さんの声だ、流暢な英語……外国ともやり取りしていると言っていたもんな。思わず時刻を確認した、深夜2時、きっと営業を終えてからの商談だ、本当に寝る間がないじゃない。
忙しいのはいいことだけれど、体が心配になってしまう。少しでも休ませてあげたい、そんな手伝いが私にできるだろうか──。
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