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会社員となって与えられた仕事をするのもいいけど、そうやって自分で開拓していくのも楽しいだろうな。
「レストランウェディングも引き受けてるよ」
それは私に向けた言葉だった、言い終われば良さんは孝ちゃんも見る。
「式は周辺の教会とか神社とかで執り行って、披露宴はうちで、っていうプランもあるんで。是非是非」
いやいや、私たちはまだそんな……まだ双方の家の挨拶も済んでいないし、うん。
☆
いつもよりはるかにゆっくり飲食を楽しみ店を後にする。
お代は孝ちゃんはいらない、これまでのお礼にと言ったけれど、むしろこれからも来たいからちゃんと払うと副社長も良さんも押し切り、支払っていた、私もと思うのにそれは良さんが払ってくれてしまった、駄目ですと言ったけれど今日だけだからと言われて諦めた。
「俺、車なんで、送りますよ」
良さんはジャケットのポケットから鍵を出しながら言う。
「いや、本当に大丈夫、山下公園なんで、のんびり歩いて帰るわ。酔い覚ましにちょうどいい」
赤レンガ倉庫から見える山下公園の近くに住んでるんだ、確かに歩いて行ける距離だけど、家賃高そう。
「いいところに住んでますね」
良さんも言った。
「陽葵が元々住んでたんだよな」
副社長が藤田さんの肩を抱き寄せ言えば、藤田さんが答える。
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