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#1 クズな恋人
大手プラント会社、末吉商事に入社して3年。後輩もでき楽しく仕事ができている、私の人生は順風満帆だ──同居している彼氏を除いては。
今日も1時間の残業後、徒歩圏にあるマンションに帰宅すると煌々と明かりが灯る部屋で恋人はベッドに寝転がってスマホに見入っている。
「──ただいま」
「おう、おかえりー」
でも画面から目すら離さない。
散らかった部屋にため息が出た、朝はこんなんじゃなかった。
彼の荷物が散乱している、脱いだ靴下もだ。ゴミ箱の近くに落ちているお菓子の空き袋は彼が入れ損なったものだろう。
流しを見れば皿と箸が放置され、ビールの空き缶がふたつ置かれている、ビールの缶のひとつはわずかに結露しているから飲み終わって間もないだろう。
「──ご飯、食べたんだ?」
違うって判ってるけど聞いてみた、食器の汚れ具合から食べ終わって間もないとは思えない。
「食べてねえよ、早く作って」
再びため息が出た。
「私、今日は残業だって朝から言ってたよね。で、周の方が早く帰って来てるんだから作ってくれてもいいんじゃない?」
「んで俺が作らねえといけねえんだよ」
そればかりは声を張り上げ、私を睨みつけて言う。
「そういうのは女の仕事で、ここはお前んちなんだから、お前が作るのが当然だろ。作る時間がねえならコンビニ弁当でも買ってきていいぞ。そんなことも言われねえと判らねえのかよ、頭の悪い女だな」
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