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見れば母親は、真っ青な顔をしてぶるぶる震えている。
「どうしたんですか」
「雅俊が、雅俊が……」
俺は玄関を上がり、そのまま二階へ向かった。
そして雅俊の部屋に入った。
――!
雅俊は部屋の真ん中にいた。
そしてその周りを多くのマネキンの首がぐるりと囲んでいた。
そのマネキンの首は、全て雅俊の方を向いていた。
「やあ、来たね。喜んでよ。僕、こんなにいっぱい彼女ができたんだ」
何か聞こえる。
よく聞きよく見れば、雅俊のまわりにあるマネキンの首が一斉に「雅俊君、大好き」と何度もささやいていたのだ。
終
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