Ⅳ ガラマジ組 魔法修行中!

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「はい、先生! あの……」 「何かな、城将(しろかど)空子(くうこ)さん……。あ! あなたは確か増田(ますだ)陽太(ようた)先生が言っていた、特別な体質の生徒さんですね……」 「あの、母から、呪文を聞いているのですけど……」 「そうですか。でも今は、あなたが呪文を作ってください。あなたのオリジナルでお願いします」 「わ、分かりました」  急いで呪文を書き上げる空子だった。 「先生、できました」 「では、発表して下さい」 「はい。マナスを供給する補助魔法の呪文です。『私はいつも〇〇ちゃんを応援しています!』『ガラマジ発動!』『ファイトー、いっぱーつ!』です。解除の呪文は、『お疲れ様でしたー』です」 「良いですね。何かその呪文でも、例の体質が発動しそうで怖いけど……」  危惧する千子(ちこ)だった。空子は、自分の作った呪文が気にったのかニコニコとして読んでいる。 「さて、最後は石川(いしかわ)静流(しずる)さんですね」  静流は、国語辞典を脇に置いて黙々と書いていたが、やっとできたようだ。 「先生、できました」  わざわざ手を上げる静流。 「では、発表して下さい!」 「はい。(わたくし)は、水系の魔法を、会得したいと考えていますので、このような呪文を考えました。『現世(うつしよ)に、あまねく御座(ござ)る、水霊(みずたま)よ、()が身を包みて、海神(わだつみ)とならん』『ガラマジ発動!』『点滴(てんてき)穿石(せんせき)!』そして、解除呪文『泡沫(ほうまつ)夢幻(むげん)!』」 「はあ? なんて言ったのさ? 厨二臭(ちゅうにしゅう)満載の呪文じゃんか。静流たんは、それ覚えんの?」  奈々(なな)が静流のノートをのぞき込みながら茶化す。 「し、失礼な。どちらかというと理系の私が、全存在をかけて作った呪文です。きっちり覚えます」 「素晴らしい五七調の呪文ですね! 五七調は、非情に勢いや力強さがあります。是非覚えて下さいね」 「はい!」  普段はクールな静流だが、千子に褒められて頬を赤らめた。 「さて、皆さんそれぞれ、自分がやってみたい魔法の呪文ができました。でも、いくら呪文を唱えても『マナス』を体内に溜めないと魔法は発動しません。くれぐれも、まず体に『マナス』を溜める練習を絶やさずしてくださいね」 「先生、『マナス』が溜まったってどうすれば分かるのですか?」  静流が、ノートをとりながら聞く。 「そうですね。慣れれば、体全体に力がみなぎる感じで分かります。視覚的には、体が光りだしたら、レベルの低い魔法は使えるようになります。更に、光に色がついて、輝きだしたら強いレベルの魔法が使えるようになるのです。初心者は、それが目安ですね。では宿題です。次の時間までに呪文を覚えて来て下さいね」  千子が、言い終わると2時間目終了のチャイムが鳴った。
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