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「え? 私でしょうか?」
空子は、手を高く挙げて答える。
「そう、君です。君だけはこちらが受付になります」
だけが気になる。男は優しく微笑んでいる。
この人、どこかで見たことがある……。
「空子はんとは、ここでお別れなんどすなぁ」
「いや、お別れって大げさだよ神楽耶ちゃん。それよりあの男の人どっかで見た事ない?」
「あの方、受験の前に私たちの中学校に、桃学のことを説明に来られた人ですよ」
レイアの記憶力は抜群だ。
「そうだよ。確かあの人に、この学校を受験することを勧められたんだ。それも私たち三人だけに」
「この学校の先生はんかいな?」
神楽耶が額に掌を当ててじっと見る。
「とりあえず行ってくるよ」
空子は、二人と別れて男のいる受付の前に立つ。
「あー、君はたしか梅花中学の……ええと、城将 空子さんですよね。僕は増田 陽太と言います。この学園の教員です。よろしく」
男は、名簿を確認した後、空子を見てほほえむ。
「は、はい。よろしくお願いいたします。あ、あ、あの一つお聞きしてもよろしいですか」
なぜか直立不動になる空子。
「はい。どうぞ。何なりと」
「この制服の事なんですけど。私はセーラー服で、あっちの人はブレザーですよね。これって、どういうことなんですか?」
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