Ⅰ 入学式の朝にて

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「え? 私でしょうか?」  空子は、手を高く()げて答える。 「そう、君です。君はこちらが受付になります」  が気になる。男は優しく微笑んでいる。  この人、どこかで見たことがある……。 「空子はんとは、ここでお別れなんどすなぁ」 「いや、お別れって大げさだよ神楽耶ちゃん。それよりあの男の人どっかで見た事ない?」 「あの方、受験の前に私たちの中学校に、桃学のことを説明に来られた人ですよ」  レイアの記憶力は抜群だ。 「そうだよ。確かあの人に、この学校を受験することを勧められたんだ。それも私たち三人だけに」 「この学校の先生はんかいな?」  神楽耶が額に掌を当ててじっと見る。 「とりあえず行ってくるよ」  空子は、二人と別れて男のいる受付の前に立つ。 「あー、君はたしか梅花(うめはな)中学の……ええと、城将(しろかど) 空子(くうこ)さんですよね。僕は増田(ますだ) 陽太(ようた)と言います。この学園の教員です。よろしく」  男は、名簿を確認した後、空子を見てほほえむ。 「は、はい。よろしくお願いいたします。あ、あ、あの一つお聞きしてもよろしいですか」  なぜか直立不動になる空子。 「はい。どうぞ。何なりと」 「この制服の事なんですけど。私はセーラー服で、あっちの人はブレザーですよね。これって、どういうことなんですか?」
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