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呪文を考えようにも、周りに突き刺さっているつららが、気になる5人だった。空子は、つららを指先で突いている。
「あら、皆様、寒いかしら。では、魔法の解除をいたします。魔法を消す時も、呪文を唱えますのよ。はい! 『冬来りなば春遠からじ。バイビー!』」
千子が、ジュリ扇を振ると、全てのつららが、湯気になって霧散した。
「では、改めて呪文を認めてください。あ、解除の呪文も、お願いしますね」
ジュリ扇をゆらゆらとあおぎながら、生徒の机をまわる千子。
「あっ、先生」
萌が手を挙げた。
「何でしょう? 安田萌さん」
「呪文の『古典魔法発動』の所を、『ガラマジ発動』に変えていいですか?」
「にゃるほど、それはいいですね。二文字減って、詠唱がより速くなりますわね」
「じゃあ、できた!」
「おっと、安田萌さん、もうできましたの。ちょっと発表してくれませんか」
萌が、ノートを持って立ち上がる。
「えっと、あたしは、炎系の魔法です。言います!『燃えろ燃えろ真っ赤に燃えろ!』『ガラマジ発動!』『地獄の業火!』で、解除呪文は『鎮火!』です」
「はーい、シンプルでイメージしやすくて、とっても良いですね。速攻の攻撃魔法の呪文に最適です!」
「は、はい。あたしは、速さで勝負です」
「素晴らしい!」
「先生、あたいもできました」
奈々が手を挙げた。
「ほう、では、蛇ノ目奈々さん、発表してください」
「あたいは、召喚魔法の呪文です。『闇の中の妖怪ちゃん。あたいに力をかしとくれ、君に決めた!』『ガラマジ発動!』『座敷童子召喚!』そんでもって、解除は『よくやった! 戻れ座敷童子!』」
「なーんか、聞いたことのある台詞のような……。でもイメージは湧きやすくて、よろしいです」
「次は、綺羅愛が発表しまーす!」
「はい、深山綺羅愛さんですね。どうぞ発表して下さい」
「はーい。ではでは、回復魔法の呪文でーす。『いたいの、いたいの飛んでイケー! もう大丈夫だよ!』『ガラマジ発動!』『なんでも軟膏!』解除は、『はい、もう大丈夫』です」
「ほう、『なんでも軟膏』ね……。何かアニメ『ドエらもんのないしょ道具』みたいな……。でも、可愛くていいと思います」
「イエイ!」
目の所でピースサインをする綺羅愛。
「あとは? 城将空子さんと石川静流さんですね」
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