Ⅳ ガラマジ組 魔法修行中!

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 3時間目は、数学だった。  体の細い長身の男性教員が、幾何学(きかがく)をもとにして、魔法陣の作り方についての授業をした。数学は、自称理系女(りけじょ)静流(しずる)独壇場(どくだんじょう)で、あらゆる魔法陣を自在に描きこなした。  4時間目は、魔法史(まほうし)の授業……。  (いにしえ)の魔法使いのコスプレをした、髭の長い老賢人が現れて、ゴニョゴニョと魔法の歴史を語る。静流以外の生徒は、ほぼ意識を失っていた。  昼休み、5人は机を円状にした。  輪になって弁当だ。 「あ、あたしはいつも一人で弁当を()ってたから、こういうのって、何か恥ずかしいな」  と言いながらも、弁当の包みを開く(もえ)だった。  はにかむ萌を見て綺羅愛(きらら)が、 「萌、かわいい」  と言ったのを空子(くうこ)は聞き逃さなかった。 「では、いただきましょう! 合掌(がっしょう)!」 「なんだよ静流。ここでも号令かよ」  静流の真面目さに、ぼやく萌だった。そう言いつつもちゃんと合掌はしている。 「いただきます!」 「いただきまーす!」 「あっ、空子ちゃんの玉子焼き美味しそう!」  綺羅愛が、弁当箱をのぞきこむ。 「ああ、これ? 私のお弁当は、お母さんが作ってくれてるの。綺羅愛ちゃん食べる?」 「え! いいの。じゃあ、いただきます! 美味しいよ! ありがとう」 「そう。よかった。綺羅愛ちゃんのお弁当は、自分で作ったの?」 「うん。いつも自分で作ってるよ。綺羅愛、小さい時に両親が離婚して、ずっとお父さんと暮らしていたから、おふくろの味っていうのに憧れていたの。これがそうなんだ。美味しいよ……」  少し涙ぐむ綺羅愛。本当に嬉しかったようだ。 「綺羅愛たん、あたいのも母ちゃんの弁当なんだ。芋の煮っ転がしあげる」  奈々(なな)が、綺羅愛の弁当箱に、丸い芋を入れた。 「ええ! いいの? 奈々ちゃんもありがとう。綺羅愛、感激!」  あまりにも綺羅愛が喜ぶので、萌も、静流もおかずを提供する。  その後は、5人がおかずの取り換えっこをした。  5・6時間目は美術の授業。    ボサボサ頭の黒縁(くろぶち)眼鏡をかけ、スモックを着た中年男性が、美術の教師だった。 「んだば、授業すっか!」 挨拶の号令をける静流。 「えー、わしゃあ、美術をば担当する、乱土(らんど) 軽石庵(かるいしあん)だべ。よろすくな。今日はよう、おめえさんがたの魔法具(まほうぐ)を作ってみっぺ」 「乱土先生、魔法具ってなんですか?」  静流は常に積極的だ。 「そのー、なんだ、あれだべ。魔法使いは、(つえ)とか、(ふだ)とか持ってっぺ。魔法を使うときに持ってるやつだべ。その魔法具を、おめえさんたちが作るんだあよ」
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