Ⅰ 入学式の朝にて

5/9
前へ
/81ページ
次へ
「そうですね、ザクッと言うとですね。クラスの違いで制服を分けています。君が着ている服は、『古典魔法科(こてんまほうか)』の制服。この学校の創設当時からの制服です。由緒ある制服なんですよ。で、あっちのブレザーは、『現代魔法科(げんだいまほうか)』の制服です。最近の情報社会に対応して、コンピューターやスマホなんかのデバイスを使った、サイバーマジックを学びます。クラス分けは、入試や適性検査の結果で決めているのです」 「はあ。制服がちがうのは、クラスが違うからなのですね。で、私は古典魔法科なんですね。もう一つ、私の他に、ここに並んでいる生徒が誰もいないのは、なぜですか?」 「ああ、そうですね。クラスメイトがいないと心配ですよね。大丈夫、君のクラスの生徒数は、君を含めて5名です。(ちな)みにクラスは1年8組になります」 「現代魔法科のクラスは何組なんですか?」 「1組から7組です。向こうは一クラス15名だから『現代魔法科』は、新入生が105名ですね。まあ、これも時代の流れかな」 「確かに、今は何でもデジタルですからね……。古典魔法科は何組まであるのですか?」 「8組がそうですけど」 「いや、そうじゃなくて、8組から何組までが古典魔法科なんですか、と聞いています」 「いや、だから8組ですけど」 「8組って、じゃあ古典魔法科の1年生って5名だけ?」 「そう! 選ばれた5名! 正にエリートですよ。それじゃあこれで受付は、終りです。入学式は体育館であるから、そちらに行って下さい。以上」  冷徹に言っているが顔は笑っている。  現代魔法科のレイアと神楽耶は、まだ受付の列に並んでいる。空子は一人、体育館に向かった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加