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Ⅴ 対決! ガラマジ VS サイバーマジック
本格的に授業が始まり、3カ月が経った。ガラマジ組の5人も少しずつだが、魔法を発動させることができるようになって来た。
3カ月も経つと、入学当初は大人しくしていた1年生も、学校に慣れてくる。慣れてくると、生徒の動きも活発になり、騒動を起こす輩も出てくる。
そんな中、ガラマジ組はいたって平和だった。
が……。
6月のとある昼休み。
「空子たーん、話したいことがあるって、現代魔法科の人が来ているよ」
教室の入り口で奈々が呼ぶ。座っていた空子が顔を向けると、レイアと神楽耶の姿が見えた。
「何、何? どうしたの? こんなところまで」
空子は、2人が初めてガラマジ組の教室まで来たので、少しうれしかった。レイアは、いつになく真剣な顔つきをしている。
「空子ちゃん! 深山綺羅愛という生徒さんいる?」
レイアが声を潜める。
「うん。いるよ。綺羅愛ちゃーん」
振り返って綺羅愛を呼ぶ空子。返事がない。
綺羅愛がいない。
「あれえー。さっきまでいたんだけどなあ。トイレかなあ?」
教室の外を見るが、誰もいない。
「綺羅愛さんなら、体育館の裏に行くと言ってました」
静流が、こともなげに言った。静流の声が聞こえたのか、萌がつかつかとやってくる。
「おい! 静流、綺羅愛は、体育館の裏に行くといったのか?」
「はい、私に二言はありません」
「体育館の裏って、呼び出されるとヤバい場所じゃん!」
奈々が、ソワソワと空子の腕をつかんで揺する。
「レイアちゃん、神楽耶ちゃん、何か知ってるの?」
「うん。今朝、クラスの2人の生徒がね、綺羅愛さんに、中学の時の仕返しを魔法でするって、息巻いていたの」
「その2人かなり、やるき満々でしたえ。朝からずっとスマホを充電してはりました」
神楽耶も心配そうに言う。
「綺羅愛……。何と言っても中学時代は『埋葬のキラ』だからなあ。綺羅愛がボコボコにした相手がやり返しにきたんだ」
萌が、空子の顔を見て言った。
「そうだったらヤバいよ! 綺羅愛ちゃんが危ない!」
空子は、脱兎のごとく駆け出して行った。目指すは体育館裏。それに続くガラマジ組。レイアと神楽耶も後を追う。
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