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体育館裏。当然のごとく人気はない。
1年3組の2人の後ろには現代魔法科の生徒が十数人控えている。
一人で立っている綺羅愛を、全員が腕を組んでにらんでいる。
「『埋葬のキラ』だね! 私は、田野明日香」
「うちは、網棚乙女や。うちのことおぼえてるか?」
2人に対して、綺羅愛は、
「えっと、えっと、田野さんに網棚さんね。綺羅愛は『埋葬のキラ』なんて名前じゃありませんけど……」
「ふざけんじゃないよ! あんたにやられて私は、クラスからいじめられるようになったんだ」
明日香が、半分涙ぐみながら叫ぶ。
「うちはやな。あんたに、お尻を蹴り飛ばされたんやで。いまでも痣が残っとる。おとしまえつけてもらおうか!」
乙女がそう言うと、2人ともスマホを出しディスプレイをスワイプする。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 綺羅愛は、いじめられたから怖かっただけなの。みんなに意地悪したんじゃない。自分を守りたかっただけなの」
「はあ、守りたかった? 過剰防衛だよ! 有罪だ!」
「そうよ、そうよ」
取り巻きも騒ぎだす。
「どうしたら、許してくれるの?」
泣き顔の綺羅愛が、涙を拭きながら、明日香と乙女の顔を上目遣いに見た。
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