Ⅴ 対決! ガラマジ VS サイバーマジック

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「あたしが行く!」  立ちあがる(もえ)。 「だから、ダメだって! 魔法を喧嘩に使っちゃ、退学になるよ」  空子(くうこ)は、必死で押しとどめようとする。 「魔法を使わなければ、いいのね」  今度は綺羅愛(きらら)が、立ちあがった。 「萌ちゃんをこんな目にあわせるなんて、あいつら絶対許せない。綺羅愛がボコボコにしてやるわ」  指の骨を鳴らす綺羅愛。 「もー! 綺羅愛ちゃんもダメー! 奈々(なな)ちゃん何とかならないの! 静流(しずる)ちゃんも、早く帰ってきてー!」  萌と綺羅愛を、体を使って押さえる空子だが、先に限界が来たのは、奈々だった。 「ガス(けつ)だよー。もう一回『マナス』を取り込むまで、ちょっと待って、プレイバック!」  奈々の身体の光が消えると同時に、ぬりかべも消えた。(さえぎ)るものがなくなり、火の粉やら水噴射やら石礫(いしつぶて)が容赦なく飛んでくる。 「こうなったら、もうこれしかないよ!」  空子は、叫ぶと詠唱を始める。 「私はいつも奈々ちゃんを応援しています! ガラマジ発動! ファイトー、いっぱーつ!」  聖杯魔法(せいはいまほう)の正式な呪文ではなく、空子の作ったオリジナル呪文だ。  一瞬、静寂(せいじゃく)になる。何も起こらない……。  と、思いきや突如、空子の身体が金色に輝き出す。魔法が発動した。  その手を奈々に向ける。金色のイナズマが、空子の(てのひら)から発して奈々の全身を包む。 「わああああ! (なん)か力がみなぎってきたよ! 『マナス』充填(じゅうてん)120%だあああ!」  奈々の身体が一気に緑色に輝いた。眼鏡まで怪しく光る。 「さあ、さあ、召喚しちゃうよ! 闇の中の妖怪ちゃん。あたいに力をかしとくれ、君に決めた!」  気迫に押されて、全員が奈々に注目した。 「ガラマジ発動! がしゃどくろーー召喚!!」  再び奈々の背後に、霧のような、漆黒の渦巻きが現れる。奈々の周りを包むほどの大きさの闇が見る見るうちに大きくなる。その闇は、空子たちも明日香(あすか)たちも見上げるほどの巨大なものになった。 「お、おい! 奈々! これってヤバいんじゃないか!」  萌がビビるほど闇は広がる。  暗闇の渦から音が聞こえた。大木(たいぼく)が、こすれたりぶつかったりするような大きな音。  ギシシ、ギシギシ、ガガキ、ガキ、カタカタカタカカカカ。  ついに闇が形を成し始めた。黒い霧は白くなり、頭がい骨となった。背骨もある。鎖骨もある。肋骨もある。  20メートルはあろうか、ガイコツの巨人が現れた。 「いっけえ! がしゃどくろ!」  奈々が、緑色に輝く両腕を明日香たちに向けた。
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