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Ⅵ 謹慎の空子
教室に戻ったガラマジ組の5人とマスター。
それぞれ自分の席に着く。
「大丈夫ですか。ケガはないかな」
マスターは、萌と綺羅愛を見て聞く。
「マスター! 大変だったんですよ! 萌は、背中に『火の粉』を受けました。綺羅愛ちゃんが、治してくれたんで良かったけど」
空子は、冷静過ぎるマスターに、憤慨している。
「空子、大丈夫だよ。あいつらの魔法なんて、大したことなかったぜ。綺羅愛も回復魔法してくれて、ありがとうな」
萌は、綺羅愛にほほ笑んだ。
「萌ちゃん、ごめんね。綺羅愛のせいで。あのサイバー組の人たち、中学の不良グループで、綺羅愛をいじめに来たことがあったの。怖くて、怖くて、確かにボコボコにしちゃったことがあった。思い出したよ。綺羅愛が悪いんだ」
手で顔を覆う綺羅愛。
「綺羅愛ちゃんは、悪くないよ! 悪いのは、サイバー組のやつらだよ。禁止されているのに、魔法を使って、謝っている綺羅愛ちゃんの事を、傷つけようとしたんだ。こっちは、自分たちを守っただけだよ。マスター! 私たち何も悪くないよ!」
空子が、立ちあがって、弁明の声を上げる。
マスターは、空子を見る。
「分かっていますよ。職員室から、ずっと見ていましたから」
「え? どういうことですか? 見てたのなら、すぐに来られたんじゃないですか?」
空子の問いに、静流が答える。
「私はすぐに職員室にマスターを呼びに行ったんです。そうしたら、マスターはみんなが写っている、『魔法の鏡』を見ていました。何度も、みんなの所へ行くように、催促したのですけれど」
「はい。君たちの様子は、『魔法の鏡』からずっと見ていました」
眼鏡を指で上げながら、静かに言うマスター。
「そうなら、もっと早く、来てほしかったです!」
拳を握りしめる空子。
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