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正義感から考えるより早く手が出て、その人の足を掴んでいた。
(一寸の虫にも五分の魂という言葉があるでしょうに)
アリを踏ませないように立ちはだかったその時。
視界のスミに白と黒のシマシマの、あの忌々しい奴を捉えた。
なぜか人の寝込みを襲っては、夜な夜な血を吸うだけでなく、プンプンプンプン不快な音をまき散らしては人の眠りを妨げ、よりによって目立つ鼻や唇を噛んでは腫れさせ、強制的にブサイクにさせるオールシーズンのハラスメント野郎。
蚊だ。
この忌々しい蚊の動きが気になって、目の前にいる男が何か言っていたが、正直、頭に入ってこなかった。
その蚊が、スゴんで何か言ってる目の前の男の額に止まったので注意してあげたけど、なぜか余計に怒って興奮しているようだった。
その間にも、蚊のお腹はパンパンに膨れ上がっていっていた。
だからそう、これはあくまで親切心でやったこと。
アリを踏みつぶして遊ぶような意地悪な人だけど、蚊に噛まれたまま放っておくのもアレかなと思って、つい弾いちゃったんだけど・・・。
まさかあんなことになるなんて・・・・
わざとじゃないんです。本当にわざとじゃないんです。
だから、仕返しに来たりとかは、しないでね・・・。
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