プロローグ②人中の呂布(ジョナさんサイド)

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 ある日、母親が寝坊したので、今日の昼食はいつもの重箱の大盛り弁当ではなく、購買のパンになった。  予算は500円。通常のこの年齢の子ならばいくらか余るだろうが、ジョアンナのことだ、500円では足りないかもしれないけど、さすがにパンばかり1000円分は多い気がする。  母は仕方なく500円を持たせることにした。  そしてお昼の時間がやってきた。食べ盛りの生徒が群がるパン売り場は、さながら戦場のようだ。  次々と売られてゆく人気のパンたち。 激しい競争の中カロリーなんて計算してる余裕はない。  予算ギリギリまで使って必死に手に入れたパンだったが、やっぱり足りないかもしれない。もう何度もお腹が鳴りっぱなしだった。  「今日はここで食べるとしよう」と、人通りの少ない体育館横の花壇にベンチがあったので腰かけた。教室まで我慢できなかった。  早速、袋から出してパンにかじりつく。だが、あわてて食べたためあんパンの餡がニュルっと出て下に落ちた。  地面に落ちた餡。見なくても分かる、砂が付いたと思うので3秒カウントするまでもなくあきらめてアリにやることにした。  買ったパンをすべて平らげた頃には、もうアリたちがパンを見つけて大はしゃぎしていた。  不可抗力でアリのエサになった餡だが、こうして見るとアリ達もなかなかカワイイものだ。あっちこっちで必死に働き、せっせとエサを運ぶ姿を眺めていると、ふいに後ろから声がした。 「おい小僧、じゃまだ、どけ」
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