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促されて恐る恐る足を踏み入れると、想像よりも遥かに酷い状態の美鳥がいた。 右目を隠すように顔半分に包帯が巻かれ、髪は切られたのか抜けたのか分からない程薄く、見える部分あちこちに傷や痣があった。 布団の上に置かれた鬱血した腕には点滴が付けられていて、更にその先の指には有るはずの爪がない。 「美鳥…何が、あったの…大丈夫?ねぇ…」 一歩美鳥に近づくと、彼女はゆっくりこちらを振り向き言った。 「わぁ、綺麗な子。なんて言うの?」 奇しくも、その台詞は美鳥と出会った時と一字一句同じだった。 「え?何言ってるの?」 震える声で助けを求めて美鳥のお母さんを見ると、彼女は「昔の記憶しか残ってないみたいで」と顔を歪める。 「ねぇ、お母さん。この人だーれ?」 話し方も子供のように変化していて、痛々しい傷跡が残る口元で少しだけ微笑んだ。 「こんな綺麗な子見た事な〜いっ」 「美鳥…私だよ?雪穂。雪穂だよ?」 熱くなる目頭に力を入れながらどうにか涙を堪えると、急に美鳥の顔色が変化して、その目に恐怖が浮かんだ。 「ゆきほ…?」 「そうだよ、雪穂だよ」 「ゆき…ほ…」 覚えてる?と美鳥に話しかけた瞬間、美鳥は両耳を塞いで大きな悲鳴をあげた。 「いやあああああああっ!!!!バケモノ!!!バケモノっ!!!!いやあああああっ!!」 尋常じゃない叫び声に、ハカセ達がドアを開け入ってくる。 美鳥のお母さんはナースコールを押して、叫び続ける美鳥を抱きしめながら私を睨んだ。 「出てって!!!!!」
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