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事件発覚から一週間と数日が経った。
美鳥のお見舞いか事件を調べているのだろう。
ハカセは、大学へ来なくなった。
どこから話が漏れたのか大学でも噂が流れ始めた。
「内村美鳥の話知ってる?」
「知ってる知ってる!まじやばいよね!!SMクラブって!女王様かよ、笑える」
「学校でもめっちゃ男漁ってたじゃん?自業自得っていうか。やっぱ見た目は裏切んないわ〜」
「ほんとうちの大学の品位下げないで欲しいよね」
「ちょっと!!!!」
何かの授業が同じなのか見覚えがある顔だ。
「あんた達勝手な事言わないでよ!!」
飛びかかる勢いで腕を伸ばしたら、その腕を楓に止められ、私と相手達の間に湯井が立ちはだかった。
相手の女子達はキャア、と小さく悲鳴をあげたものの口元の笑みが隠せていない。
「雪穂やめろ」
「邪魔しないでよっ」
女子達は私の顔を確認すると「え、こわ」とヒソヒソと笑った。
「でもさ、久遠さんだって正直清々してない?」
「は?何言ってんの?」
尚も襲い掛かりそうな私は湯井達に止められて自由が利かない。
肩からずり落ちたトートバックが砂塵を舞わせて地面に転がった。
「だって、内村さんってハルくんにも手出そうとしてたでしょ?」
ハルくん狙うなんて有り得な〜い、と女子達は顔を見合わせてわざとらしく眉を顰めた。
「っ!!そんな事してない!私が勝手に紹介しただけなんだから!」
よく知りもしない人に好き勝手言われるなんて耐えれなかった。
あまりの悔しさに両目から涙が溢れ出てくると、女の子達は興が醒めたように「もう行こ、」と二人揃って歩調を早めて去っていく。
これ以上美鳥を傷つけないで欲しかった。
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