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「ハカセ!!!」
病院近くのファミレスで集合した私たちは先に到着していたハカセに駆け寄る。
約2週間ぶりに会うハカセは顔色も悪くやつれていた。
「…だ、大丈夫?」
あまりの変貌ぶりに言葉を失う。
「…久しぶり…最近寝れてなくて」
はは、と小さく笑う声にも翳りが感じられ今にも倒れそうだ。
「…それで、どういう事なの?」
目の前のハカセはカサカサに乾燥した唇を少しいじってから随分前に冷めたコーヒーを啜る。
「…警察が言うには、事件性がないから捜査は終わりって」
「待ってよ、事件性がないはずないじゃん!」
警察だって美鳥の姿を見たはずなのに、どうしてそんな事が言えるんだろう。
「僕もそう言ったんですよ?でも、事件性はないの一点張りで」
「あんな大怪我だぞ?一人でやったわけないだろ!!」
湯井も楓も信じられない面持ちだ。
「僕だって、そう思いますよ」
「暴力した奴が絶対どっかにいるだろ!?監視カメラは!?」
「それも確認できなかったって」
「意味わかんねぇ!何のための警察だよっ」
湯井はテーブルの下で結んだ拳をわなわなと振るわせている。
「でも」とボソリとハカセが小さな言葉を発した。
「僕、どんどん分かんなくなってくるんです」
その声は次第に大きくなり、最後は肩を震わせ目を両手で覆う。
「もしかしたら、美鳥は本当に…」
「ハカセ!!!美鳥がそんな子じゃないってハカセが一番よく知ってるでしょ!?」
ハカセの言おうとした言葉を遮る。
だって、あり得ないのに。
絶対にあり得ないのに。
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