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第四章
決行の時が来た。その日の夜。私はあの灯台へ登った。あの時の男も一緒だ。階段を踏みしめるという経験を、私は生涯で始めて味わった。狭い階段だ。それでいて、一段一段が安定している。滑るなよと男が言った。私たしは、ああ、とだけ返した。暫くして上に着いた。私は興奮していた。恐怖など忘れていた。光源を壊すために、船のオールを持ってきていた。このオールも硬い物は俺に頼めと、あの男に渡されたものだ。私は元々、海水でショートさせるつもりだった。
私はしっかりとオールを握りしめた。そうして、勢いよく振り下ろし光源のレンズを粉々にし始めた。重く鋭利な音を立てながら、ガラスが割れて行く。反対側、つまり町の方を向くガラスも遂に割った。ガラスは割れた。最後は光そのものだ。私はオールを立て光源目掛けて突き刺した。一度では何も起こらない。もう一度、回転をかけながら突き刺した。ゴリゴリという音を響かせながら、光は死んだ。僕はふと我にかえった。男は只じっと私の奇行を眺めていた。
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