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「あら、あなただって十分喜ばれる存在よ」
それを聞いた50円玉さんが反論しましたが、1円玉くんは首をふります。
「そんなことないよ。だってこの前、言われたもの。道ばたで僕を拾った人がガッカリしながら『なんだ1円玉か』って。それでポイって捨てられて。僕は誰からも喜ばれない安っぽい存在なんだ」
いじいじと落ち込む1円玉くん。
それを見て100円玉くんが励ましました。
「まあまあ、そんなに落ち込むなって。お前にだっていいところぐらいあるさ!」
「いいところって?」
「そうだなあ……。例えばアルミニウムでできてるとか……、水に浮くとか……、めちゃくちゃ軽いとか……」
ぜんぜん励ましになってない言葉に50円玉さんがドスっと100円玉くんをつつきました。
「あなた、もう少しまともなこと言えないの?」
「うぐ……、そうは言ってもだな。考えてみれば確かに1円玉が役に立ったところなんて見たことないし」
「なんてこと言うの!」
そんな100円玉くんの言葉に、今度は5円玉さんも10円玉くんもポカポカと100円玉くんを叩きました。
1円玉くんはさらに「はああぁ」と落ち込みます。
「どうせ僕なんて、いらない存在なんだ……」
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