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「そんなことないですわ」
それまで黙って見ていた500円玉さんが初めて口を開きました。
「私たちはあなたが集まって出来た硬貨。あなたがいなければ私たちは生まれないのよ?」
「そうだそうだ!」
それを聞いた5円玉さんも、10円玉くんも、50円玉さんも、100円玉くんも、みんな500円玉さんに続きます。
「私たち、あなたが集まってできてるのよ!」
「君がいなけりゃ僕らは生まれないんだ!」
「あなただって立派に役に立ってるわ!」
「でも……」とうつむく1円玉くんに100円玉くんが言いました。
「元気出せよ。オレだってこの前、100枚の1円玉と交換されたんだぜ? 『100枚の1円玉より1枚の100円玉のほうが使いやすい』って言われてさ!」
余計な一言に5円玉さんも10円玉くんも50円玉さんもポカポカと100円玉くんを叩きました。
「あなたは!」
「どうして!」
「余計なことを!」
100円玉くんはポカポカと叩かれながら「ひーん」と頭を抱えました。
それを尻目に1円玉くんはひっくひっくと泣き出しました。
「やっぱり……僕なんていらない存在なんだ……」
うわーん、と声をあげる1円玉くんにみんな困り果ててしまいました。
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