僕は役立たず~とある1円玉くんの悩み~

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 ちょうどその時です。  ポケットの中から財布が取り出され、蓋が開きました。  そして持ち主が顔をのぞかせました。  慌ててみんな口を閉ざします。  持ち主は財布の中身を全部出して言いました。 「ああ、よかった。ちょうどある」  そこはお店のカウンターでした。  どうやらお会計の真っ最中のようでした。  持ち主は硬貨を一枚一枚数えて 「ぴったり666円!」  と店員さんに渡しました。 「よかったですねえ、1円玉があって」 「ほんとほんと。この前は1円足りなくてこの商品買えなかったからね」 「1円といえどもお金ですからね。わたくしどもも1円足りなかったらお売りできませんから」 「そうだよね。今日はほんと1円玉があってよかったぁ~」
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