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元々学校を休みがちだった上に、どこか殺伐とした雰囲気を醸し出していた彼にはほとんど友達がいなかった。
後から聞いたところでは、『プロ棋士を目指すとは、そういうこと』らしい。
その頃に比べたら、憑き物が落ちたようにスッキリした顔をしていた。
「お前、今日の夕方くらいまで対局してたんだろ?」
僕はあくびを噛み殺しながら、うんざりした気分を思い切り込めて話しかけた。
「終局は19時過ぎだな。その後、インタビューやら何やらで22時頃まで拘束されて」
「それで、何でそんなに元気なんだよ」
「対局の後は目も頭も冴えてるものなんだよ。布団に入ってもどうせ眠れない」
「だからって素人相手に試合の自慢するほど暇なのか?プロ棋士は」
「ずっと盤と向き合って大河みたいに壮大なドラマがあったのに、誰とも共有できない気持ちを想像してみろよ」
「他の棋士とやればいいだろ」
一戦交えてきた彼は、一通り吐き出さなければ落ち着かないようだった。
僕がなんとなく調べた限り、彼の業界での評判は芳しくないようだった。
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