歓喜《トリスタン side》

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歓喜《トリスタン side》

 ────教会からの帰り道、私は歓喜に震えていた。  やった!!やったぞ!!教会に守られていたメイヴィスを聖女の座から追いやり、捕まえることに成功した!! この一週間、必死に怒りを抑えた甲斐があった!!  だらしなく頬を緩める私は、グッと拳を握り締める。 そして、この喜びを誰かと共有しようと、向かい側に座るロゼッタに話し掛けた。 「上手くいったな!ロゼッタ!」 「そうですわね、トリスタン王子。正直、あそこまで簡単に行くとは思いませんでしたわ。これもひとえに、トリスタン王子のおかげです」 「ふふん!そうだろう、そうだろう!」  生意気なメイヴィスと違って、ロゼッタは私を褒め称えてくれる。 作戦の立案から教皇と司祭の説得に至るまで、全て彼女が行ったと言うのに……。  ロゼッタはよく分かっているな!必要以上にでしゃばらず、男を立てる! 器量の良さに関してはメイヴィスより、ずっと上だ!まあ、外見の良さはメイヴィスの方が圧倒的に上だが……。 「そう言えば、メイヴィスの身柄はどうするんだ?このまま行くと、本当に処刑されてしまうぞ?この作戦が上手く行けば、メイヴィスは私のものになるんじゃなかったのか?」  作戦内容を聞いた当初から気になっていた点について、私は言及する。 コテリと首を傾げる私に、ロゼッタはニッコリ微笑んだ。 「それなら、頃合いを見計らって脱獄させれば、良いのですわ。王家の所有する別荘地にでも監禁すれば、きっと見つかりませんから」 「ということは、まだ時間が掛かるのか……」 「はい、残念ながら……ですが、あともう少しだけ頑張れば、彼女はトリスタン王子のものですよ。罪人相手なら、世間体を気にしなくて済むので、多少乱暴(・・)にしても構いませんし」 「むふふっ!それもそうだな!あともう少しだけ、我慢しよう!」  自分の下で淫れるメイヴィスの姿を想像し、私はニヤニヤと笑う。 やっと、あの美しい娘を抱けるのかと思うと、興奮が抑えられなかった。  嗚呼、メイヴィス……!!私だけの天使!! あともう少しだけ、待っていてくれ!必ずお前を牢から解き放ち、抱いてやるからな!  まるでヒーローにでもなったかのような気分で、私は胸を反らす。 ────メイヴィスを牢屋にぶち込んだ犯人は、自分だというのに……。 過去のことなどすっかり忘れてしまった私は、『泣いて喜ぶに違いない』と信じて疑わなかった。
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