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圧力鍋を装備し『お煮しめ』もやっつけた。
たたきゴボウは必要以上に叩いたし(ストレス発散)海老も煮付けた。
黒豆はもう買ってやった。時短だ時短。
それでも次々に襲ってくるおせちモンスター達。いつしか写真を取り忘れ、余裕もなくなってくる頃……。
──業者モグレン、急ぎなさい。来客の到着は少し早くなるそうです。
「マジか!ピンチョスがまだできてない!」
──宴会の前菜を、お洒落仕様に欲張るからです……ピンチョスにモッツァレラチーズ……あら、素敵。写真ないけど。
業者モグレン、なんとか間に合わせた。ビールも冷えてる、さぁお城で年越しパーティーだ!
みんなの美味しい笑顔をチラ見しながら、業者モグレンはまだまだ調理中。そうか、そうか、美味しいか。
まぁ、だから頑張ってしまうのだ。
静かな年越しも好きだけど、賑やかな年越しも好きだ。
だって、業者モグレンだから。
ここは、始まりの町。
モグレンの冒険は、正月後半にも繰り返される。
前を向いて歩く者だけが辿り着く輝かしき未来は、決して平坦な道ではないけど。
小さな幸せを拾い集めながら、令草さんが笑って暮らせますように。
いつかでっかい幸せになるから。
令草さんへ、業者モグレンより
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