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【怒涛の1日 part2】
翌日の1月2日、朝起きてニュースを確認する。昨日の地震に関するニュースはやはり多かったものの、それ以外で新たな問題などは発生していなかった。また、虎次郎に体調の確認をすると、熱はなく、軽い鼻詰まりだけらしい。
とりあえずは大丈夫そうだと一息つき、落ち着いた心で勉学に励む。時間はあっという間に過ぎ、気づけば外の空は暗さが増してきた。そして夕ご飯を済ませ、少しベッドに横たわっていると、虎次郎から電話がかかってきた。
「ニュース見た?」
「うん?何の?」
僕の家にはテレビが無いので、ニュースを知りたければスマホで検索するしか無い。
「羽田の。」
「ん?いや?知らんで?」
急いで、『ニュース 羽田』と打ち込む。
すると、例の事故に関する記事が出てきた。詳細を確認し、驚くとともに、関係者の無事を祈る。そしてその直後、友人が僕にわざわざ電話を掛けてきた真意を悟る。
「あ、ごめん。昨日は俺が一人旅になるかもって思ってたけど、ちょっと虎次郎が一人旅になる説の方が濃厚やわ笑」
「マジか笑」
「でも、真面目な話、一旦様子見で、すぐに復旧すればそのままだし、欠便多数になってたら別の手考えるかな。」
「別の手?」
「うん。成田空港で取り直して、前のやつは払い戻ししてもらうとか。」
「あね。」
「とりあえず一旦、待ち、かな。」
「そっか。じゃあまた明日どうするか教えて〜。」
「了解。」
「んじゃ。」
「じゃ。まt。」
最後まで言い切らず、僕は電話を切ってしまった。そして、すぐにニュースを舐め回すように見る。レポートの誤字脱字チェックよりも入念に、一字も情報を読み落とさないように。ただ、やはりどういう対処になるかは結局分からなかったのと、どうせ大丈夫だろうという根拠のない未来への脆い信頼を根拠に、僕は30分ほどして検索をやめた。
ただ、やはりどうしても気になるものは気になる。
結局、その日眠りついたのは、午前5時。朝日はまだ登っていない、薄暗い明け方だった。
〜続〜
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