お嬢と執事の出会い

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「あのキャリーバッグの事だけど…」 お嬢は優雅に椅子に座ると足を組んだ。 「あれ、何だと思う?」 「さぁ、知りません」 分かってたら盗んだ事バレちまうだろうが。 「何だと思う?」 「何ですか?」 「(あくまでも知らん顔貫き通すつもりね…)…あれねぇ、お金が入ってたのよ」 「ヘェ ソウナンデスカァ、ワァ、ビックリダー(棒読み)」 「(こいつ顔色ひとつも変わらないわね。さすがルパンと不二子の息子)」 ※違う。 「何でそんなもんが廊下に転がってたんですか?誰かに盗まれちまいますよ?」 「そうね(とっくに貴方に盗まれましたけどね)。私のお母様、お片付けが苦手な方ですの。だから廊下に出しっぱなしにしてしまっていたようですわ」 「あれ奥様のキャリーバッグだったんですか?」 「あれって?」 やべっ、しまった!!この糞女誘導尋問糞上手ぇっ!!しかしここで焦ったら俺の負けだ!焦るのは内心だけにして顔と声には絶対出さずにクールに答えなければ! 「ふふっ、嫌だな、お嬢、今さっきお嬢が言っていたキャリーバッグの事ですよ」 「あぁ、そうだったわね(チッ、動揺しないなんてさすがルパンと不二子の息子だわ、クールガイ!)」 勝った!! 内心でガッツポーズ。 クールな表情を崩さず心の中で安堵しながら交換した薔薇を新聞紙で包んだ。
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