④ウエノショウコの話（ヨシタカ、ナオ）

実際、大企業を辞めた後、住む所に困った。
一度、実家を出てしまうと、戻る気が起こらない。
家電や、自分の物が増えすぎているのもあるが、
1人暮らしでは、誰も文句を言う人がいないのだ。

すぐに、就職先を探す。
流石に、一流企業の就職は、すぐには、見つからず、
たまたま見つけた、中小企業のヒロカワ広告の秘書課の募集に、応募し、
就職する事が出来た。
ヒロカワ広告は、会社のマンションを持っていたが、実際、住んだのは、１年だけだった。
当時は、女性限定だったためで、
付き合った人とか出来ると、
目撃される事が多く、ヒロカワ広告のような、小さい会社だと、すぐに噂を立てられると思ったからだ。

案の定、それは正解だった。
同じ、会社では無かったが、秘書で、パーティや企業同士の懇親会に行くと、
誘われる事が多く、住んでいる家の近くまで、送ってくれる人も多かった。