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シラカワナオの腰にあった副社長の右手が、
シラカワナオの顎を持ち上げた。
そして、うっとりと、シラカワナオに微笑み、
口づけをした。
その時、私は、やっと気づいた。
これは、クロキ副社長が、彼女の事が、好きなのだと。
クロキ副社長が、シラカワナオを求めているのだ。
それで、全て辻褄が合う気がした。
クロキ副社長は、彼女の息が続くように、
少し唇を離しては、角度を変え、
また、キスをする。
シラカワナオは、左手で、離してくれと、
クロキ副社長の肩を、また何回も叩いていた。
クロキ副社長は、それには、全く動じなかった。
何回も、何回も、口づけをし、
それでも満足出来ないのか、
クロキ副社長は、シラカワナオの背中にあった左手を、シラカワナオの後頭部抑え、
顎にあった右手は、肩を叩いていた手を抑え込んで、
背中をなぞりながら、再び、シラカワナオの腰に手を当てた。
シラカワナオは、両腕を抑え込まれて、どう足掻いても動けない。
これほどまでに、
クロキ副社長が、シラカワナオの事が、好きだとは、思わなかった。
どうしてなのだろう。
あのイケメン、ハイスペックな男が、
天然、馬鹿っぽい、どんくさい年上女を好きになるんだろう。
どう考えても、分からなかった。
結果的に、シラカワナオに騙されている。
これしか、頭に思い浮かばなかった。
今、見ている光景を見て、シラカワナオが憎くなる。
私だったら、どんなに良かったのだろう。
絵になるような、素敵な場面だったと思う。
その時、クロキ副社長が、いきなり両手を離し、
数歩、後ろに後ず去った。
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