④ウエノショウコの話(ヨシタカ、ナオ)

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シラカワナオの腰にあった副社長の右手が、 シラカワナオの顎を持ち上げた。 そして、うっとりと、シラカワナオに微笑み、 口づけをした。 その時、私は、やっと気づいた。 これは、クロキ副社長が、彼女の事が、好きなのだと。 クロキ副社長が、シラカワナオを求めているのだ。 それで、全て辻褄が合う気がした。 クロキ副社長は、彼女の息が続くように、 少し唇を離しては、角度を変え、 また、キスをする。 シラカワナオは、左手で、離してくれと、 クロキ副社長の肩を、また何回も叩いていた。 クロキ副社長は、それには、全く動じなかった。 何回も、何回も、口づけをし、 それでも満足出来ないのか、 クロキ副社長は、シラカワナオの背中にあった左手を、シラカワナオの後頭部抑え、 顎にあった右手は、肩を叩いていた手を抑え込んで、 背中をなぞりながら、再び、シラカワナオの腰に手を当てた。 シラカワナオは、両腕を抑え込まれて、どう足掻いても動けない。 これほどまでに、 クロキ副社長が、シラカワナオの事が、好きだとは、思わなかった。 どうしてなのだろう。 あのイケメン、ハイスペックな男が、 天然、馬鹿っぽい、どんくさい年上女を好きになるんだろう。 どう考えても、分からなかった。 結果的に、シラカワナオに騙されている。 これしか、頭に思い浮かばなかった。 今、見ている光景を見て、シラカワナオが憎くなる。 私だったら、どんなに良かったのだろう。 絵になるような、素敵な場面だったと思う。 その時、クロキ副社長が、いきなり両手を離し、 数歩、後ろに後ず去った。
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