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シラカワナオは、
「すいません、今、こちらに異動と聞いたもので、
必要そうなものだけ、とりあえず、持って来ます。
私のデスクがあれば、教えて頂きたいのですが・・・」と、
冷静な判断をして来た。
私は、その反対で、複雑な心情だったため、慌てるように、
「こちらです。」と、デスクを教えてしまった。
「ありがとうございます。すぐに取りに行って戻ってきます。」と、
シラカワナオは、いつものあの笑顔で言い、秘書課から去っていった。
私は、シラカワナオが、立ち去った後、力が抜けるように、自分の席に座る。
でも、すぐに立ち上がり、
クロキ副社長を、ブラインドの隙間から、再び見た。
クロキ副社長も、近くのソファに座り、
私と同じように、力が抜けたように、頭を天井に向けていた。
シラカワナオ、考えれば、考えるほど嫌なヤツだ。
こんなにまで、クロキ副社長を虜にするなんて。
クロキ副社長の力が抜けた姿を見ながら思った。
決して、私は許さない。
徹底的に、シラカワナオを潰そうと思った。
シラカワナオが、あの強気な態度から、弱々しい態度を見せれば、
クロキ副社長も、目が覚めるだろう。
シラカワナオが、クロキ副社長に、縋り付き、泣き付くように、
持っていこう。
こうして、私から、シラカワナオへの嫌がらせが、始まった。
クロキ副社長も、厳しく頼むと言っていたし、
しばらくは、分からないだろう。
私は、ずっと、そう思っていた。
完
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